外国人の社会保険・年金 2026:加入義務と脱退一時金 | MyKyoten
日本の社会保険制度を外国人向けに解説。国民年金と厚生年金の違い、保険料の計算方法、脱退一時金の申請方法、ビザ更新への影響まで完全網羅。
日本の社会保険制度は複数の制度から構成されている。外国人居住者にとって特に重要なのは以下の4つである。
| 制度 | 対象 | 窓口 | |---|---|---| | 国民年金(老齢・障害・遺族) | 会社員以外の20〜60歳全員 | 市区町村役場 | | 厚生年金 | 会社員・公務員 | 勤務先経由 | | 国民健康保険(国保) | 職場の健保に未加入の居住者 | 市区町村役場 | | 健康保険(協会けんぽ等) | 会社員 | 勤務先経由 |
会社員の場合、勤務先が社会保険(厚生年金・健康保険)の加入手続きを行う義務がある。加入手続きが行われていない場合は、勤務先に確認するか、年金事務所に相談すること。
国民年金(第1号・第3号被保険者) - 対象:自営業者、学生、無職、フリーランス - 保険料:月額16,980円(2026年度)※定額 - 加入手続き:市区町村役場
厚生年金(第2号被保険者) - 対象:会社員(週20時間以上勤務かつ月額88,000円以上) - 保険料:標準報酬月額の18.3%(労使折半) - 加入手続き:勤務先が代行
会社員の場合、厚生年金加入により国民年金にも同時加入となる(第2号被保険者)。保険料は給与から自動天引きされる。
切替タイミングで注意すべきこと: 転職・退職・独立の際には、年金の種別変更手続きが必要になる。空白期間が生じると未納扱いとなり、永住権申請時の審査に影響する。
国民年金の保険料(2026年度) 月額16,980円(定額)
厚生年金の保険料計算 標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2(労使折半)
例:月収40万円の場合 標準報酬月額:410,000円 保険料合計:410,000 × 18.3% ÷ 2 ≈ 37,515円(本人負担分)
健康保険の保険料計算 協会けんぽの場合:標準報酬月額 × 10.0%前後(都道府県・年度により異なる)÷ 2(労使折半)
正確な保険料は日本年金機構の公式サイトまたは年金事務所で確認すること。
社会保険(健康保険)には原則として就業開始と同時に加入する義務がある。
職場の健康保険(協会けんぽ・組合健保) - 加入条件:週30時間以上勤務(一定規模以上の企業では週20時間以上) - 手続き:勤務先が代行 - 扶養家族の追加:手続きにより家族も被扶養者として加入可能
国民健康保険(国保) - 加入条件:職場の健保に未加入の居住者全員 - 手続き:市区町村役場(転入・退職後14日以内) - 保険料:前年収入に基づいて市区町村が算定
健康保険の未加入・未納は入管審査で不利になる。保険証(マイナ保険証)は病院受診時に必要なため、到着後は速やかに加入手続きを行うこと。
誤解1:「短期滞在だから加入しなくていい」 正確には:滞在予定期間にかかわらず、住民登録をした時点で加入義務が発生する。
誤解2:「会社が手続きしてくれるはずだから確認しなくていい」 正確には:加入義務は会社にあるが、実際に手続きが行われているかは自分で確認する必要がある。ねんきんネットや年金定期便で確認できる。
誤解3:「脱退一時金で全額戻ってくる」 正確には:脱退一時金は最大60か月分(5年分)に上限が設けられており、それ以上の加入期間があっても返還額は増えない。また20.42%の源泉徴収税が差し引かれる。
誤解4:「未納のまま帰国しても問題ない」 正確には:未納は日本の信用記録に残る。将来の再入国・在留資格変更・永住権申請に影響する場合がある。
老齢年金を受給するには、保険料を納付または免除・猶予された期間の合計が10年(120か月)以上必要である。
主な受給条件: | 要件 | 内容 | |---|---| | 受給資格期間 | 10年(120か月)以上 | | 受給開始年齢 | 原則65歳(繰上げ60歳〜、繰下げ75歳まで) | | 加算期間 | 免除・猶予期間も算入(ただし満額にはならない) |
10年未満の場合: 老齢年金の受給資格は得られないが、以下のいずれかが選択できる。
1. 脱退一時金の請求(帰国後2年以内):加入月数×保険料×支給率で計算した一時金を受給 2. 社会保障協定の活用(協定締結国の場合):母国の年金制度との加入期間を通算して受給資格を確認
2026年現在、日本は24か国と社会保障協定を締結している(ドイツ、フランス、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)。
協定の主な目的: 1. 保険料の二重払い防止:日本と母国の両方で保険料を払わなくて済む場合がある 2. 加入期間の通算:受給資格確認のため両国の加入期間を合算できる
重要な注意点: 加入期間は通算できるが、給付額はそれぞれの国の規則に基づいて独自に計算される。通算によって給付額が増えるわけではない。
対象国の居住者は、日本年金機構または出身国の年金機関に協定の適用について相談すること。
日本を出国し住民登録を抹消した場合、国民年金・厚生年金の加入期間が6〜59か月であれば脱退一時金を請求できる。
計算式: 国民年金:保険料月額 × 加入月数 × 給付率(加入月数による) 厚生年金:標準報酬月額の平均 × 支給率(加入月数による)
実際に戻る金額の目安(2026年度): | 加入期間 | 国民年金(概算) | |---|---| | 6〜11か月 | 約100,000円 | | 12〜17か月 | 約200,000円 | | 24〜35か月 | 約400,000円 | | 48〜59か月 | 約720,000円 |
重要: 受け取った脱退一時金から20.42%が源泉徴収される。租税条約のある国の居住者は確定申告(還付申告)により一部または全額の還付を受けられる場合がある。
申請期限: 出国・資格喪失日から2年以内。期限を過ぎると請求権が消滅する。
入管は在留資格更新および永住権申請の審査において、社会保険の加入・納付状況を確認する。
確認される主な書類: - 国民年金保険料の納付証明書(ねんきん定期便など) - 厚生年金の被保険者記録 - 健康保険の加入証明書または保険料納付証明書 - 住民税の納税証明書(課税証明書)
永住権申請における年金要件: 原則として直近2年間の年金保険料の完全納付が求められる(免除・猶予の場合は申請書での説明が必要)。一部でも未納期間があると審査が厳しくなる。
ねんきんネット(www.nenkin.go.jp)に登録すると、加入履歴・納付状況・将来の受給見込み額をオンラインで確認できる。
出国前の手続き: 1. 市区町村役場で「転出届」の提出(出国日の14日前〜当日まで) 2. 国民健康保険・国民年金の喪失手続き(転出届と同時に手続き可能) 3. 脱退一時金の申請準備(出国後に請求するため書類を揃えておく)
出国後の手続き(脱退一時金): - 出国・資格喪失後に日本年金機構へ請求書を郵送 - 請求書は日本年金機構のウェブサイトからダウンロード可能 - 振込口座は外国の銀行口座も指定可能
5年未満の滞在予定の場合: 脱退一時金の受給を前提とした加入が一般的。ただし20.42%の税負担を考慮した上で、租税条約による還付申請の可否を確認すること。
5〜10年の滞在予定の場合: 加入期間が10年(120か月)に近づく可能性がある。老齢年金受給資格を得ることのメリットと、脱退一時金の上限(60か月分)を比較して判断すること。
10年以上・永住を検討している場合: 老齢年金の受給資格確保と永住権申請のコンプライアンス要件充足の両面から、継続的な保険料納付が重要。免除・猶予の活用も検討しながら、未納期間を作らない管理が必要。
20代前半で来日した場合: 30〜40年の加入期間が積み上がる可能性がある。日本での老齢年金受給が現実的な選択肢になる。ただし、母国への帰国可能性や在留資格の継続性を踏まえた長期計画が必要。
30〜40代で来日した場合: 受給資格の10年(120か月)達成が現実的な目標になる場合がある。社会保障協定の活用により、母国の年金加入期間と通算して受給資格を確認することも検討すること。
50代以降で来日した場合: 老齢年金よりも脱退一時金の受給が現実的な選択肢になる場合が多い。